「宇宙兄弟」といえばTVアニメはもちろんの事、劇場版アニメに実写映画、さらにはプラネタリウムや脱出ゲームなど様々なコラボやメディア展開がされてきた大人気漫画ですが、当然のように原作漫画はアニメ等に輪を掛けて面白いという私の意見に異論を唱える方はきっと少ないと思います。
現在31巻まで出ている「宇宙兄弟」ですが、ファンの方々ならご存知の通り本作にはただの漫画だけでは収まらないような数々の名言が載っています。
実際、私自身も仕事で疲れている時やプライベートで心が荒んでいる時に作中の言葉に胸をうたれた事が少なからずあり、私と同じような経験をした方は割といるのではないでしょうか?
そこで今回は名言の宝庫とも言える「宇宙兄弟」から名言を幾つかご紹介していきたいと思います。
心のノートへのメモの準備は宜しいですか?
人の人生には、いくつもの”夢のドア”がある。
宇宙兄弟の23巻において、NASAの宇宙飛行士ブライアン・JはNASAに憧れる若者達に向けて言葉を送りました。
全文は長いので以下は引用になるのですが、
人の人生には、いくつもの”夢のドア”がある。人は例えば「宇宙へ行く」みたいな大きな夢を持った時、目の前に現れたバカでかいドアに萎縮して向こう側へ行くことを諦めちまう。「開けられるわけがない」ってな。
だがビビることはないんだよ。本当ははじめから、そんな”バカでかいドア”なんてものはない。
小さなドアがいっぱいあるだけだ。
“成長のドア”、”発見のドア”、”勝利のドア”、”賞賛のドア”、他にもいろいろ見つかるだろう。そしてその小さなドアを開けるたび、君らの夢が1つずつ叶っていくのがわかるはずだ。
(中略)
手探りでも何でもいい。意地でも次のドアに手を伸ばしつづけることだ。そんなことしてる間に、気づいたら宇宙遊泳とかしてるかもよ?
引用元:「宇宙兄弟」第23巻
この言葉は作中屈指の名言で実際のビジネス系サイトでもよく紹介されていますし、大きな夢に対しての心の持ちようとしてこれほど優れているのはそうそうありません。しかし、これは何もビジネスだけではなくて私生活の全てにおいて言える事ですよね。
『夢』のドアというだけではなく、『目的』として考えると私達が日々暮らす中で『ドア』というものはそれこそ無数に存在します。
時には鍵が必要なドアもあるかもしれません。
ですが、まずは小さなドアでも一つずつ、一歩一歩の積み重ねがとても大事なことだと気付かせてくれる、そんな名言ですね。
俺の敵は だいたい俺です
主人公の南波 六太(なんば むった)が同僚であり先輩の宇宙飛行士・ビンセント・ボールド、通称『ビンス』から「敵は誰だ?」という問いに対して六太が答えた言葉です。
ビンスにとっては長期的視野を持たず批判するマスコミや、有人飛行を予算の無駄遣いと批判する学者連中を宇宙飛行士が宇宙へ行く為の敵だと論じます。しかし、六太は今までさんざん宇宙へ行く為に足を引っ張り続けていたのは自分だとし、自分以外の敵はいないと話しました。
この言葉を単純に『周りなんか関係ない』とも取れるのですが、この言葉は六太のこれまでの歩みを知っていると重みが変わってきます。
幼い頃同じ夢を持った兄弟ですが、まっすぐ月へと向かうロケットのように夢を叶えた弟の日々人(ひびと)とは違い、優秀な弟を誇りに思う反面いつしか夢から目を背け、子供の頃のように純粋に夢を見られなくなってしまっていた六太がここまで辿り着くまでに闘ってきたもの、それはいつだって六太自身であったと読者は知っています。
だからこそ重みのあるこの言葉。
只の信条ではなく、再起という経験からくる至言であると言えます。
私の夢は年をとっていない
宇宙飛行士選抜試験の閉鎖環境試験で六太と同じA班に所属した福田さんの言葉。
54歳という受験生最高齢にも関わらずに、宇宙飛行士という夢を諦めずに試験に挑んでいる福田さんは、当然様々な面で他のメンバーよりもハンデを負っている事になる。
過酷な試験や不安、そして不慮のトラブルによって何度も心が折れそうになる中、自分を奮い立たせるように心でこの言葉を唱えます。
現実の私達も同じです。
いくつになっても夢は年をとりません。もし年齢によって夢を諦めなければいけない時が来るとしたら、それは心の老いによるものかもしれません。
本気の失敗には価値がある
作中NASAの訓練プログラムの一環として宇宙開発に必要な技術を競い合うコンペに参加する六太達は限られた予算の中でマシンの開発をしなければなりませんでした。
チームメイトは予算内で最高の素材を使用した1機を作ろうとする中で、六太のみが『失敗して壊れる事を前提として、最低でも2機作れる余裕を持つべきだ』と提案します。
『良い素材をつかっても良いモノになるとは限らないが、失敗を知って乗り越えたモノは良いモノである』とした元自動車エンジニアである六太ならではですが、それを聞いたアドバイザーとしてチームに参加している技術者のピコ・ノートンが六太とビンスとの酒の場で『こいつは失敗に前向きだ』と表した時に六太は「本気でやった場合に限るよ。本気の失敗には価値がある」と答えました。
『失敗は成功の母』とも言われますが、ただ失敗を重ねるだけではダメなのです。本気でやった場合の失敗にこそ価値があり、言ってしまえば本気でやった事には失敗ですら学べる点が多いという事になりますね。
生きてて欲しいんだよ
六太の恩人であり、もう一人の母とも言うべき天文学者の金子 シャロン博士が筋萎縮性側索硬化症(略称:ALS)を患ってしまい症状が深刻化していく中、そんなシャロン博士に六太がかけた願いにも似た言葉です。
ALSの症状によって六太との絆とも言えるピアノを弾けなくなっただけでなく、声も脚力も奪われてしまい、静かに、けれども確かに忍び寄る死の気配は作中のシャロン博士でなくとも心を削るに十分な状況と言えます。
しかし、近親者にとってはどんな状況であれ生きていて欲しいものです。
この後六太は月面にて月面望遠鏡作成のミッションに赴くのですが、この時六太がシャロン博士に言った願いにも似た想いが決意ともなって六太を強く後押ししていきます。
まとめ
如何でしたでしょうか?
他にも宇宙兄弟は作中で数々の名言があります。例えば上記の画像の六太の飛行機の師匠でもあるデニール・ヤングだけでも、
- 「人生」は自分のもんだ人生はコントロールが効く
- ところでムッタ、空と人生の一番の違いは何だか知ってるか? 「空」は誰のもんでもない「人生」は自分のもんだ 人生はコントロールが効く
- どーせやるならその道の一流を目指そうぜ
といった数の名言があり、全てを紹介していたらキリが無いほどなので個人的に厳選してご紹介させて頂きました。
宇宙兄弟の名言はビジネスやスポーツにおいても応用の効くものが多く他のサイトでも積極的に紹介がされていますが、やはりそれだけ多くの人に影響を与えた証拠だとも言えます。
今では世界に誇る日本の文化として漫画やアニメは私達の生活に根強く息づき、今回ご紹介した宇宙兄弟の他にも名言を持つ作品は多くあります。
普段は私達にワクワク感や感動を与えてくれる漫画やアニメですが、時には私たちが生きていく中での心の参考書として活用するのも良いかもしれませんね。