※グロアニメの為、閲覧注意
はい、『エルフェンリート』です。
海外でも話題をかっさらったその描写は、重要人物かな、ヒロイン枠かな、誰かの恋人かな、と思わしき人物の首が片っ端から飛び、つぶれ、準ヒロイン達の四肢が切断など、血みどろのリョナアニメとなり話題を呼びました。
もちろん、原作マンガも同様かそれ以上。
しかしアニメでこれをやるとき、どこまでできるんだろう(放送倫理的に)と心配していたのですが、とことんやりましたね。
感涙です。
いや、別にグロ描写が好きなわけじゃないんですよ?
ただ、この物語の内包する
- 悲しさ
- せつなさ
- やるせなさ
を表現するうえで、これらの描写から逃げていたら、決して満足できる映像作品にはならなかったと思うのです。
ジャパニメーションの一つの到達点、アニメでできる限界点として海外の評価も高く、神聖さすら感じさせるオープニングもあいまって、日本のアニメ史における金字塔だと、個人的には信じてやみません。
いきなり心をわしづかむOP
https://www.youtube.com/watch?v=uF3fyQEB0f4
ラテン語による賛美歌のようなOP曲と神秘画を摸した画面は、もうこれだけで「こいつはただものじゃない」と思わせる、数あるアニメOPの中でも傑出した存在でしょう。
そしてこの歌詞……内容を考えたとき、もう泣けます。
切なさと、絶望感と、渇望と、さして清らかさ。
あえてラテン語にしたことで「視聴者の99.9%は解らない」ことを見越しての、アニメの内容を暗喩するOPは斬新でもあります。
心幼く清らかな少女と、心寂しさゆえに残虐な少女、ひとつの体
ヒロインの「にゅう」は、主人公の前に登場したときは、見た目とは裏腹にまるで常識を知らない天使のようなあどけなさを持つ少女なのですが、実は二重人格で、その正体は、側頭部に角を持つ新人類「ディクロニウス」であり、目に見えない腕を持ち、対象を切り裂く「ルーシー」という女性。
主人公は何の変哲もない大学生のように見えて、
その実、少年時代にまだ子供だったルーシーと出会い、交流し、そして最愛の妹と父親を殺された過去を持て、記憶を失っている。
この、「ルーシー」が悲しく、暴風のような残虐の嵐であり、そして切ないのです。
見所と魅力、この作品への入り方
実は、「にゅう」と「ルーシー」の関連性や、登場人物達が複雑に入り交じったストーリーをここで解説するのは、はっきり言って無理。
投げます。投げ出します。
でも、
- ミトコンドリア・イヴ
- 新人類の感染性DNA
- 少女時代から続く、ルーシーの切ない恋心と罪悪感
などの単語を並べれば、見たくなる人もいるんじゃないでしょうか?
ぶっちゃけ
限界ギリギリのラインをとうにはみ出してるグロ描写、腕が飛び、女だろうが子供だろうが首がひしゃげる
などのポイントで見始めても全然OKだと思います。
私も、そこから入って最後は感動の涙を流してましたから。
つまり、興味本位で入ってきた人間を虜にし、惹き付け、作品世界にどっぷり浸して感情移入させるだけの破壊力と浸透性を持つ作品なのです。
アニメで語られなかった、もう一つのルーシーの物語
アニメの話数は1クール。
大事なことなので2度描きます。
1クール。
この壮大な物語をどうやって1クールでやるんじゃあっ!!
と、アニメ化に接した折にはそんなふうに叫びたくなりましたが、実際見てみると「お見事」の一言です。
数限りない殺戮を繰り返してきた「ルーシー」が、「にゅう」として様々な人々との交流を広げ
「ルーシー」は主人公との思い出、そして放たれる刺客などとの苛烈な攻防を繰り広げながら、最後は「にゅう」ではなく「ルーシー」として、涙を流しながら死地に向かいます。
と、ここまではなんとかまとめた感じですが、実際にはとても1クールとは思えないくらいいろんなシーンがハイスピードで叩き込まれて来て、濃密な13話(+おまけ1話)を過ごした後「何のために生まれてきたのか」という、人間や「ディクロニウス」を超えた、あらゆる存在に投げかける問いを残滓として物語は幕を閉じます。
実はこの問いってよくあるようで、この作品内においては、ここまで、残虐シーンや人の死を連続で叩き込んだからこそ意味をなすような構造なのです。
そのあたりは、1クールと短いこともあるし、ぜひご覧あられたい!
もうひとつのルーシーの物語
この作品は元々壮大なスケールと緻密な構成によって裏打ちされた漫画作品であり、連載当初からファンを虜にしていました。
アニメで語られた以上の、謎につぐ謎、さらに深い人物描写や悲しさと懐かしさなど、あらゆる感情が怒濤のように押し寄せ、最後の最後に、大人になった主人公の前に現れた「おぼろ」は、涙とともに透明な追憶のせつなさを残し、消えていきます。
アニメを見て興味を持たれた方は、長編12冊(むしろよくこんだけで収まったもんだ)ですが、一読ならず、二度三度と読む価値ありです。
まずは古本屋へゴー!
え、置いてなかった?
ならアマゾンへゴー!
絶対後悔しませんて!