『ガールズ&パンツァー』は、2012年10月から途中中断を挟んで2013年3月まで放映された本編12話+総集編2話のアニメです。
この本編以外にアニメとしては、本編ではほんの数秒で終わってしまったアンツィオ高校戦にスポットをあてたOVA「これが本当のアンツィオ戦です!」が2014年7月に発売されました。
内容については後述しますが、かなりマニアックかつ熱いドラマ展開で一躍人気を集め、今なお
- ガールズ&パンツァーリトルアーミー
- リボンの武者
などスピンオフ作品を生み続けています。
そして、ついに2015年11月『ガールズ&パンツァー劇場版』が全国公開されることになりました。
一応、OVA「これが本当のアンツィオ戦です!」が発売前に映画館を限定した劇場公開されましたが、全国公開は今回初めてです。
現在、Webなどで予告編が配信されていて、これがなかなか思わせぶりな内容で今から公開が楽しみで仕方ありません。
https://www.youtube.com/watch?v=q1i3FQzHhps
ということで劇場版をより楽しむため、本作品の魅力を再確認しみたいと思います。
『ガールズ&パンツァー』ストーリー・ダイジェスト
物語は、主人公:西住みほが県立大洗女子学園に転校してきたことで始まります。
彼女は戦車道(作品世界で女子の嗜みの一つされる武芸。ぶっちゃけ本物の戦車を使ったサバゲーです。)の家元「西住流」の師範の娘であり、以前通っていた黒森峰女学園では1年生ながら強豪戦車道チームの副隊長(隊長は実姉 西住まほ)を勤める言わばサブレットでした。
しかし、以前から規律と統制を重んじる「西住流」の考え方に疑問を持っていたこと(この辺りの話は、本編上では直接的な表現がありませんが、漫画や小説等で補完されています。)に加え、初めて参加した全国戦車道高校生大会の決勝戦で彼女の行動が原因で黒森峰女学園は10連覇の夢を絶たれてしまいます。
そんなこんなで戦車道がいやになったみほは、戦車道のない大洗女子学園に転校してきたのですが、まるで彼女を戦車道が追いかけてきたように大洗女子学園に戦車道が復活します。(その昔、大洗女子学園は戦車道の強豪だったという設定です。)
しかも、学園でただ一人の戦車道経験者のみほは、復活した戦車道チームの隊長に抜擢され実務面のトップ立たされます。
最初は嫌々ながら引き受けたみほでしたが、仲間達と手探りで戦車道をやっていくうちに自分自身の戦車道に目覚め、それによって彼女の才能も開花していきます。
そんな中参加した全国戦車道高校生大会では苦しみながらも(試合以外にも大洗女子学園に戦車道が復活した理由等色々トラブルがありました。)勝ち上がり、ついにはかつての母校黒森峰女学園との決勝戦を迎えることになります。
それは、自ら「西住流」そのものという姉まほに対して、己の戦車道を証明する戦いでもありました。
激闘の末チームメイト全員のサポートによって実現したまほとの一騎打ちを制し優勝、みほは「私、自分の戦車道を見つけたよ。」とまほに告げるのでした。
物語の魅力
上記のストーリーだけを見ると「どこのスポ魂アニメ?」というような感じですが、ほぼ同一スタッフで作成された「ストライク・ウィッチーズ」がシリアス寄りだった反動か、かなりコミカル色の強い味付けがされています。
確かに
- みほや五十鈴華の実家との確執
- 冷泉麻子の家庭問題
- 大洗女子学園の廃校問題
など結構重い話も出てくるのですが、大抵その直後にコメディー調の表現(新三郎の泣き顔とか、あんこう踊りとかなど)があって引き摺ることはありません。
だからといってストーリーが薄いというわけではありません。
重いネタと軽いネタがうまく絡まり最終決戦へと盛り上げる手腕は、水島監督以下のスタッフ陣の優秀さの現れでしょう。
また、ネタや伏線の使い方が絶妙で、例えば、みほが黒森峰女学園を去る切っ掛けとなった事件(河に落ちた僚友のため、みほが指揮を放棄して救出に向かい、黒森峰女学園が10連覇目前でプラウダ高校に負けた。)と同じく1年生チームが河で立ち往生したとき、やはりみほは勝負のために友人を見捨てることができず救出に向かいます。
ただ、前回と違い大洗のメンバー全員がみほの行動を理解して協力することで危機を脱し、みほの行動は間違いでは無かったことを証明して見せるというような心憎い演出が随所に光ります。
このように本編のストーリーはみほを中心とした大洗戦車道チームの成長と絆の物語になっているのに対し、劇場版は予告編見る限り彼女たちの絆が試される話(キャッチコピーが取り戻せ-ですから。)のようです。
しかし、一癖も二癖もあるスタッフが作る劇場版ですから、きっと私の予測など軽く超えたストーリーを見せてくれるでしょう。
キャラクターの魅力
美少女アニメには魅力有るキャラクターが欠かせませんが、「ガールズ&パンツァー」では物語の設定上、主人公チームだけで32人もの人物が登場します。
その上ライバルたちを含めると50人近い数になります。まるでA○○48ですね。
これだけのキャラクターがいれば、誰か一人ぐらい心の琴線に触れる子がいますよね。
日頃の天然ボケぶりと戦車に乗ったとき凛々しさのギャップが魅力の主人公:西住みほやミリタリーマニア少女という新しいジャンルを拓いた斥候娘:秋山優花里など本当に魅力的キャラクターいっぱいですが、私の一押しは生徒会チームのポンコツ娘:河嶋桃です。
彼女のキャラ表を見たときのイメージは沈着冷静な有能な策士キャラかと思いましたが、実際は感情の起伏が激しく一度パニックに陥るととことんダメ方向に突っ走るというポンコツ娘でした。
考えてみれば「ガールズ&パンツァー」に出てくる子たちには、見た目に反するキャラの子が結構います。
例えば主人公チームの五十鈴華は大食い怪力キャラだし、バレー部チームの佐々木あけびはそのほんわかした雰囲気に似合わず結構毒吐きだし、決定的なのはアンツィオ高校の統帥アンチョビこと安斎千代美でつり目縦巻きツインテールという外観から絶対我の強い俺様キャラだと思った人は多いでしょう。(実際、漫画版ではそんな感じのキャラでした。)しかし、アニメでの彼女は割と普通の感性の持ち主で義理人情に篤い娘でした。
このように見た目やポジションから判断する性格や振る舞いとは違った描かれ方をするキャラクターがかなりいて、これも「ガールズ&パンツァー」の魅力の一つになっています。
劇場版では更に新しいキャラクターが登場しますが、きっと私たちのテンプレ概念を裏切ってくれることでしょう。
私の個人的希望としては、知波単学園の西絹代が見た目に反してポンコツキャラだったら嬉しいです。
ガジェット、ミリタリーネタの魅力
言うまでもありませんが『ガールズ&パンツァー』のもう一つの主役は戦車です。
かつて、アニメ業界には、戦車・バイクは出すなという格言がありました。
それは、作画に手間隙掛かる割りに迫力や動きを上手く表現でき無かったからです。
そんな時代から比べるとCGの助けがあるとはいえ『ガールズ&パンツァー』で縦横無尽に走り回る戦車を見ると隔世の感があります。
しかも、その動きや内部の描写がマニアを唸らせるほど細かいだけではなく、それらを上手く物語に組み込む演出がされていて戦車が余計魅力的に見えてしまいます。
巷では、『ガールズ&パンツァー』効果で戦車模型の売り上げ伸びたり、今まで見向きもされなかったマイナー戦車が発売されたりしたとかしないとか。
いかに『ガールズ&パンツァー』で戦車が魅力的に描かれていたかの証左ですね。
後、忘れてならないのは話の彼方此方に挿入されるミリター絡みの小ネタの数々(秋山優花里の「オッドボール三等軍曹」とか、歴女チームの「フィンランド人に謝りなさい」や「隊長、あの木に見覚えがあります」「天は我を見放したか」とか)です。
劇場版ではどんなネタが飛び出すか、今から楽しみです。
本編を振り返ることで『ガールズ&パンツァー』の魅力を再確認してきましたが、改めて思いました。
『ガールズ&パンツァー』は素晴らしい作品だと。
その本編製作スタッフが再集結して作った劇場版ですから、期待するなという方が無理です。
さて、劇場版公開まで三ヶ月あまり本編ビデオを見ながら首を長くして待つとしましょうか。